長居療法院なごみ

80歳の鍼灸師

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80歳の鍼灸師(座骨神経痛)

80歳の鍼灸師

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 その鍼灸師の先生から往診の依頼がありました。座骨神経痛のような腰の痛みで困っている。お宅のホームページを見たら、無痛ゆらし療法で痛みや痺れが取れると打ち込まれているが本当に取れるのかととの問い合わせ。その声の音色からして半分、半信半疑。でも、ちょっと好奇心もあるようでした。

 「座骨神経痛から来る痛みなら、無痛ゆらし療法の施術で症状は緩和します。後は信用してもらえるかどうかです。」と返答します。

 「それなら、わしの施術の勉強にもなるし、一度、騙されたと思って、無痛ゆらし療法を受けて見よう。」との見解でした。

 それで、往診をすることになりました。訪問した先は神戸市、阪急三宮の駅から歩いて15分ぐらいの場所。その先生の鍼灸治療院でした。

 一人で鍼灸院を開業している。保険が効かないので、実費診療。それでも、多忙を極めるほど患者さんは来ています。その先生、島川先生の鍼の腕が卓越しているのでしょう。

 その凄腕の先生が、何で自身の坐骨神経痛を治療できないのか不思議でしたが、確かに、自分自分の身体に鍼を打つのは難しいかと推測します。

 島川先生はネットで検索していたら、無痛ゆらしの施術が目に入ったそうです。非常に断言した書き方をしているので、確かめてやれと電話したとのこと。治癒すればめっけもの、もし、全く治らなかったら、まゆつばだと徹底的に批判してやれと思ったそうです。また、鍼以外の施術も学習も兼ねて経験して見るのも良いと思ったとのこと。9,000円なら、手頃で遊び感覚。ネットで楽になると主張している。少しは痛みが取れるのではないかととの程度で、あまり期待はしていなかったと後々、語ってくれています。

 訪問して、先生の年齢を聞いてびっくり。80歳でした。80歳で現役で鍼灸治療をしている。電話で声を聴いていたら、若々しく、50代ぐらい、まさか、80歳とは賞賛の仰天です。

 問診早々、「無痛ゆらし療法で俺の痛みと痺れが解消できなかったら、インチキだ。すぐにホームページを撤退しろ。」と言われました。でも、冗談半分で言っているのはすぐに理解できましたけれど・・。お互い、治療家として気持ちは、仏教用語で言う浮華軽佻、以心伝来でした。ふと頭を過ります。これは絶体にこの先生」の痛みを解消してやろうと。また、その自身はありました。

    口では辛口の文句を言って来ますが、施術を始めると非常に従順でした。たぶん、ご自身の痛みや痺れを解消してもらうのと同時に、無痛ゆらし療法がどう言う施術なのか学習してやろうと言う研究心もあったのでしょう。

 とにかく、多弁な患者さんでした。口は悪いが気さくな人でしたので、以外と馬が合いました。自分自身の鍼灸師としての自慢話をします。「俺は、90歳まで鍼を打ち続ける。」と意気盛んです。なぜ、自分が鍼灸師になったのかを語ってくれました。

 島川先生が鍼灸師になったのは60歳。そんなに遅かったのかと驚きです。それでも80歳ですから、20年のキャリアを持っています。

 もともと、島川先生は個人タクシーの運転手。三流大學(本人の弁)を卒業すると、すぐにタクシーの運転手になった。理由は運転が好きだったから。22歳でタクシーに乗務してから無事故無違反。一度も警察にキップすら切られたことがないと、ここでも自慢します。勤務していたタクシー会社から何度も表彰されて模範ドライバーだった。もらった表彰状は大切に保管してある。その後、個人タクシーの運転手として独立する。個人タクシーとしての経営は順調。神戸の山の奥だが、一戸建てのマイホームも購入した。一生、個人でタクシーを運転して人生を終えようと設計図を引いていたそうです。それが予想もしないある突発的な事件で歯車が狂ってしまった。

 55歳の時だったと当時を悔し気に思い出しながら語ります。その日、夜遅くまで走り最後のお客を送り届け、自宅へ戻ろうとハンドルを回した時、気持ちが業務が終わったと言う油断があったのだろう、突然、路地から出て来た人を撥ねてしまった。その人、相当、酒に酔っていて千鳥足だった。目の前に人が現れて、はっとブレーキを踏んだが遅かった。被害者の方は大きなき叫び声を上げて、路上に血だらけになって倒れていた。それ以来、運転が怖くなって出来なくなった。とても悲しそうな表情で回顧します。人様の命をい殺めてしまったと懺悔します。その語り口がとても悲壮に漂っていたのでそれ以上は聞けませんでした。たぶん、賠償はすべて保険でしたのでしょうが、奥様と相談して、タクシー業務からは撤退して二度と車には乗らないと決意した。

 タクシーに乗務してずっと無事故無違反。超模範運転手がたった一度切りの人身事故でハンドルを握る情熱が消失してしまった。勿体ない話です。

 それで鍼灸師になる決意をした。タクシー乗務員から鍼灸師、大きな決断でした。鍼灸師の資格を習得したのは60歳。随分とおそがけの鍼灸師さんですが、本人はタクシー時代の経験が結構、治療に役に立っているとプラス思考に考えています。別の世界で学んだ事柄は、何らかの形で新しい分野に効果をもたらしてくれると言うことでしょう。61歳からのスタートでも、20年のキャリアです。お元気です。健康の秘訣は柔道。柔道5段です。80歳の今でも、近くの道場で若い人たちと週1回汗を流している。老人と言う印象を感じさせません。90歳どころか100歳まで、鍼が打てるのではないかと思います。

 この先生、生粋の神戸っ子。神戸生まれはわかりますが、生まれてこの方、たった2回しか神戸の街を出ていないと言います。2回とも柔道の試合。大学時代に東京と九州は熊本に対外試合に行った時だけだったそうです。大阪の梅田の駅にも80歳の人生で一度も下車したことがない。要するに、柔道の対外試合2回以外、JR、阪急、阪神の神戸を走るメーン電車にほとんど乗ったことがないと言うのですから驚きです。神戸は素晴らしい都市だよと熱く語ります。仕事が終わると、たまに三宮の居酒屋さんで一杯飲んだ後、一時間ほどぶらぶら歩きます。気に入ったお店があるとすぐに入ります。三宮周辺の安くておいしいお店はほとんど通暁している。もともと、タクシーに乗っていましたので、三宮の街の地理には詳しい。俺は三宮の生きた地図だと豪語しています。

 座骨神経痛は3回の施術で治癒しました。痛かったこともあるが、本当に痛みがとれるのかとと言う猜疑心も強かった。どんな施術かと見極めてやれと言う好奇心もあったそうです。それにしてもあれだけひどかった痛みが完治した。ちょっとまがいものではないかと抱いていた疑念が払拭したと驚愕の中に詫びてくれました。これでまた、元気に鍼灸治療が出来ると喜んでくれました。

 「俺がもう少し若かったら、無痛ゆらし療法を教えてもらうのに。」と語ります。「80歳ではな。覚えて頃に向こうの世界か。」と冗談を言います。「俺は鍼一本で行くよ。俺の手に負えない患者さんがいたら、紹介するから宜しく。」その言葉に、『良かった。無痛ゆらし療法が本物だと思ってもらって。』胸を撫で下ろします。座骨神経痛の痛みが取れて本当に良かったです。

 

 

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